FACTORIUM update -vol.1.令和の渋沢-
FACTORIUMの近況報告と最近の取り組みについて、Mediumで実験的お届けしてみます。
会社を創業して、9カ月目が終わりました。今はやりたいことを優先しているので、当初よりも忙しさは減りました。しかし、売上が少なくなり、これまでのキャッシュを新規事業開発に突っ込んでいるため、ドキドキしながら、楽しくも、ストレスフルな毎日を過ごしています。
今の不安と自分を動かすもの
FACTORIUM(ファクトリアム)は、連続的にデータサイエンスビジネスの起業を繰り返す「データサイエンス・ベンチャービルダー」です。企業とともにデジタル事業開発を支援しながら、社会課題の解決に向けたサービスを次から次へと生み出していきます。
これが私の会社の紹介です。
実際のところ、私の仕事は「自分がやりたい事業をやりたい」というシンプルな動機により、仕事を創り、新しい価値を生み出していくことです。
それがうまくいき、生計を立てられるようになりました。生計を立てるという意味では、これまで順調といえますが、日々、新しい冒険を求めるという病に蝕まれています。多動症かもしれません。
デジタルコンサルティングや新規事業開発支援などの仕事は、数ヶ月では結果がでないものばかりです。ピン芸人として仕事を受けていると、「本当にうまくいっているか、価値を発揮できているのか」という不安が少しずつ大きくなります。
たくさんの案件をさばいていくと、
「果たしてこの案件は、この仕事は、本当に価値があるのだろうか」
「自分の労働を単にお金に変えているだけではないか」
「自分の分身であるFACTORIUMは何をやっていくべきなのか」
こんなことを考えながら、健全な姿に軌道修正していこう、より本質的なことも考えるようになりました。
「私たちが将来、裕福になり、好きなことに取り組む時間が増えたならば、今のような仕事に取り組むだろうか」
「世界中のありとあらゆる課題が、誰かによって解決されつづけた結果、戦争がなくなり平和になり、医学が発展し不老不死に近づき、労働することの価値が相対的に減少したならば、私は何に生きがいを見出すのだろうか」
自分の価値を測りたいという欲求がゆえに、社会課題を解決する事業開発にこだわりを持つようになりました。
しかしながら、社会的な課題に対して情熱を燃やせるわけではなく、新しい価値を生み出し続けるというプロセスにこそ楽しみをエクスタシーを感じている、ちょっと頭のおかしいやつなだけだと思います。
新規事業開発というプロセスに楽しめば楽しむほど、
「自分たちの人生と、周囲の社会と世界を同時に幸せにできる」
と思うようになりました。
現代の日本は、課題先進国といわれるほど、数多の課題に満ち溢れ、満足できることは少なく、イライラするようなことがたくさんあります。未来の私たちがよく生きていいくために、次から次へとソリューションやシステムを設計していくだけでいいと思います。だから、私が80歳になるまでは起業し続けられる人生でもいいかなと思います。
その欲がつきるまで。
今取り組んでいる3つの柱
1.Digital Joint Venture Building(DJVB)
多くの日本会社はデジタル化が遅れています。経営者や経営層に近い人とディスカッションをしても、デジタル化の本質を理解している人は少ないという印象を受けました。一方、システム開発やインターネット企業の人と話しても、古い産業をデジタル化したい、という人にはなかなか巡り合わないものです。
私の仕事の一つは、デジタル事業開発をやってきたという立場を最大限に利用して、古くて価値のある会社のデジタル化を推進することです。
中でも、弊社が最重視している取り組みが、
企業と組んでたくさんデータベンチャーを作ること
です。
誰でも知っているような日本会社でも、データサイエンティストも、UX/UIデザイナーも、AIプランナーがいなかったりします。ブランドもお給料も高いのに。
そういう会社がデジタル×新規事業開発に本気で取り組もうとするならばFACTORIUMのネットワークとアイデアと実行力を駆使して、ビジネスプランニングから、デザイン・実装・運用を一気通貫で実現するということをやっています。
私はコミットメントしたいので、出資もするし、必要以上に時間を投資します。その代わり、パートナーとなる会社にも同じようにコミットメントを要求します。
とはいっても、現実問題、本当にやりたい人がいないプロジェクトもあります。役員がやれって言ったからやっているという会社員が多いです。そういうプロジェクトにアサインされたら、生き地獄でした。
生き地獄はFeeがもらえたら悪いことはないのでしょうか。
起業経験のないメンバーで構成されたコンサルが新規事業開発コンサルティングをやっているのに出くわします。よくあることです。
彼らは不思議なことに、自分たちでチャレンジしたこともないのに、高い工数を請求してきます。それなのに、起業のコミットをしない。Feeをとり、Win-Loseの新規事業コンサルが多いことから、大いに私のDVJモデルには勝ち目があると判断し、そこに資源を投下しまくっています。
例えば、現在、以下のようなプロジェクトをやっています。(すべて大手企業とのJV設立を一つのマイルストーンとしています)
①不動産Tech・プロジェクト
BIMデータ(あるいは、3D空間データ)やIoTを活用してオフィスビルを中心としたオフィスビルの施設価値を高めるサービスのPoCをやっています。BtoC向けの不動産テックサービスは多いが、BtoB不動産テックは上場するような強いベンチャーがいない。ビル管理に使われるデータは無数にあり、一見複雑ですが、それを解きほぐすと、解決の糸口が見えます。弊社で独自で開発しているMR技術とDMP構築能力でまったく新しいファシリティマネジメントが作れるのではないか、と思っています。
②マテリアルTech・プロジェクト
IoTやAIなどを活用して、素材のバリューチェーン(設計・製造・識別・検査・再利用)の安全価値や環境価値を高めるというものです。日本企業は素材にめっちゃ強い。が、デジタル化が全く進んでいない。この領域では、様々な可能性があり、同時多発的な事業開発を進めています。
③エンターテイメントTech・プロジェクト
スマホベースのゲームアプリは、多く進化を遂げている一方で、日本の映画産業やアニメなどのコンテンツ制作側のプレイヤーもデジタル化が進んでいません。映画やアニメなどのエンターテイメントコンテンツを作るときはビッグプロジェクトであるが、旧態依然としたプロセスのままである。アニメ制作、声優、動画制作、展覧会など様々なビジネスチャンスをデジタルサービスによって再定義しようとしています。
④水産Tech・プロジェクト
農林水産業は様々な課題の宝庫といってもいい。その中で着目したのが、水産業漁業。沿岸漁業・沖合漁業・遠洋漁業・養殖などがあります。水産テックも大手企業もベンチャーも少ない。まず取り組んでいるのが、水産の水揚げデータベースの構築と漁師の意思決定のAI化です。まずはデータを集めることに着手しています。
上記以外にも次の球をどんどん仕込んでいます。「都市開発」「アパレルD2C」「不動産デベロッパー」「美容テック」などのパートナーを募集しています。
二つ目の柱は、自らがフロンティアになるという活動です。
2.Data Science Startup Building(DSSB)
弊社のビジネスモデルのもう一つの仕組みが、StartupStudioによる連続的な起業です。基本的にはDJV方式で次から次へと作れたら、スピーディに起業を繰り返すことができるのですが、技術トレンドが読めない領域では、なかなか実現性が難しいものがあります。技術ベースでスタートアップを作っていく取り組みが、Data Science Startup Buildingです。
ラボ的に、PoCを自腹でやります(笑)。
会社員の頃はできなかったですが、コンサルティングで稼いだ利益の半分をR&Dに使います。よく自分たちが作ったことないものを、クライアントのお金で作ろうとする輩みたいなSIerがいますが、弊社では、技術検証を自社の少額の予算でやります。知財の確保、技術の理解、ビジネスチャンスの発見のためです。
具体的には、
・衛星画像・人流データ・天気情報の解析
・Mixed Realityアプリケーション開発・3Dモデリング
・エッジAI・カメラによる挙動検出
・トークンエコノミー
に小さく投資して技術検証しています。それぞれ数百万単位で、事業のヒントをつかんでいます。そこで、事業化できそうなものをスタートアップにしています。具体化しているのは以下のプロジェクトです。
①1社目:株式会社DATAFLUCT(データフラクト)
JAXA職員として、宇宙ビジネスの産業を大きくするために作った会社が、DATAFLUCTです。データ・アズ・ア・サービスというコンセプトのデータビジネスベンチャーです。世の中には価値を生み出せていない、過小評価されているビッグデータ(衛星画像・人流データ・天気データ・POS・プローブデータなど)があり、それを集めて、まったく新しい価値を生み出すことを事業領域にしてます。データ活用コンサルティングをやりながら、次から次へとプロダクトをローンチしていきます。7月に一発目のプロダクトをローンチします。ご期待ください。
②2社目:株式会社XXXX(近日公開予定)/FACTORIUM子会社
2019年4月に新しい会社を買収しました。領域は、チームマネジメントのSaaSプロダクトです。今、このプロダクトをフリーランス向けに作り直していきます。弊社で元々持っていたトークンエコノミーのコンセプトを融合して、信用経済のプラットフォーマーを目指していきます。
3社目はまだ決まっていません。ネタとしてはいくつかありますが、現在、投資できるお金がなくなったことと、事業化できるまで道筋が見えていません。次の資金がたまるまで緩やかに検証していきます。
例えば、以下のようなものを検討しています。
・調剤薬局のUber
・フードロステクノロジー(IoT/AIエッジカメラ/ビッグデータ)
・宇宙×ヘルスケア(ハイストレスワーカー向けヘルスケア)
・AIエッジカメラプラットフォーム
・MRアプリ(デバイス)×デジタルアート
興味があるキーワードがある人はぜひ一緒にやりましょう。
データサイエンスをもう一つ別の切り口で検討をしているのが、SDGsです。
3.SDGs Venture Building
せっかく会社員をやめることができたなら、組織のためでも、お金のためでもなく、純粋に社会のために働いてみてもいいと思い、SDGsに興味を持ちました。
参考:SDGsって?
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
そもそも、SDGsビジネスは顧客の課題解決でないものが多いので、成り立たないものが多いということがあり、難易度が高い印象です。社会の課題と顧客の課題をつなげるのはかなりの技が必要だからです。要するに、技術やビジネスモデルや戦略がないから、うまくいかないのですが…。
そこで、
「データサイエンス(数理的解決方法)×サブスクリプションビジネス(SaaS型モデル)」×「プラットフォームビジネス」という縛りで、SDGsの課題を解決できないだろうかと考えました。
後付けのSDGsではなく、SDGsが出発点の事業開発です。
私が着目しているSDGs List
1.つくる責任・つかう責任(目標12:持続可能な消費生産形態を確保する)
2.住み続けられる街づくりを(目標11:包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する)
3.気候変動に具体的な対策を(目標13:気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる)
4.海の豊かさを守ろう(目標14:持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する)
5.陸の豊かさも守ろう(目標15:陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復、及び生物多様性の損失を阻止する)
6.働きがいも経済成長も( 目標8:包摂的かつ持続可能な経済成長、およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する)
です。
それぞれソリューションスケッチをしているのですが、今回は、具体的に進捗している1つ目の「つくる責任・つかう責任(目標12:持続可能な消費生産形態を確保する)」について説明します。
弊社が最初に取り組むのは、フードロスです。特に先進国のフードロスを、データサイエンスの力を使って解決していくつもりです。
具体的な問題は以下のページが参考になります。
弊社が取り組むプロジェクト
①食品スーパー向け需要予測アルゴリズム(ビッグデータ)
店長やバイトがなんとなくの勘で発注しているので、過発注がおきます。POSデータを活用した自動発注システムを導入するには、多くの投資が必要になります。弊社のサービスでは、ビッグデータを活用した需要アルゴリズム、ダイナミックプライシングモデルを実現します。(現在、データをもらい分析中。他にもPoCパートナーを募集しています。)
②外食(バイキング)向け食品廃棄検知サービス(IoT)
バイキングはその特性上、必ず廃棄が出るようなオペレーションになっています。おにぎり・サンドイッチ・ホットミールなど、食べられないまま出していると、衛生的に良くないからです。まずは、魚眼カメラとスマートセンサーを活用して、廃棄量をモニタリングできるようにします。(現在1社とPoC検討中、さらにPoCパートナー募集中)
③家庭向け賞味・消費期限検知サービス(IoT)
冷蔵庫の中を開けると、期限の切れた食材や調味料が出てきて、まとめて捨てることを経験したことは誰でもあります。主な原因は忘れてしまうからです。RFIDとスマホアプリとIoTデバイスを活用した、ある仕掛けによって、忘れているという課題を解決します。(現在1社とPoC検討中、さらにPoCパートナー募集中)
フードロスにおいては、他にも食品卸の最適化、二次流通の最適化などありますが、それらの実証実験をすることで、事業化の模索を行っています。
また、海洋資源、大気汚染、建物の老朽化についても、具体的なPoCを回していきたいと思っていますので、ご興味がある方は連絡をお待ちしています。
結局、お前は何を目指すのか
上記のようなことをほぼ一人で発案しては仕掛けていくFACTORIUMは、多動で、生き急いでいるといわれます。
FACTORIUMのミッションはFOUND100。
10年で100社創る
という明確なKGIを持つことによって、そこに合うようなスピード感で仕事していくと、会社を作るネタ/種が現時点で25個そろいました。そのうち、3社は会社にしました。1年内に更に会社になるのは6個くらいかもしれませんが、スピードを上げれば、10年間で100社は何とかギリギリ達成できると思います。が、まだまだ、私には力が足りない。
元々、FACTORIUMの起業の動機は、日本企業の新規事業に落胆して、、、
日本企業の新規事業開発部を担うために
というものでした。
世界に負け続ける日本企業に対して、私たちがデジタル・データサイエンスという武器を作ることによって世界で再び栄光を取り戻すことができると信じています。
今もその思い変わらず、いかにスピード感を持って、事業開発ができるか日々考えています。
「IPOを目指す」「大きな会社の社長になる」という元気なことは言えない。その代わりに、次の時代の資本主義を構築する、ということに熱くなれるのは、変わり者かもしれません。
スタート地点では孤独でした。今では、共感者が集まってきました。
共感してくれた誰かが私のことを
君は次の時代の渋沢栄一を目指しているのか?
といわれました。確かに、渋沢栄一は尊敬すべき偉人の一人で彼の影響で、論語を読んだことがあります。今の、みずほ銀行や、東急電鉄、帝国ホテル、王子製紙、東京海上日動火災保険、東京ガス、キリンホールディングス、サッポロホールディングスなど約470社の立ち上げにかかわったといわれています。
なるほど。そうか。一つの超えるべき目標ができた。
令和という新しい時代を終える時、「令和の渋沢栄一」と呼ばれるようになろう。
最後に・・・
・AIプランナー(FACTORIUM・DATAFLUCT)
・CEO/COO/CTO候補(FACTORIUMの子会社・JV先)
・AIエンジニア(DATAFLUCT)
・プロダクトオーナー(HR-TECH SaaS)
・UX/UIデザイナー(HR-TECH SaaS)
・CTO候補(HR-TECH SaaS)
など募集しています。Facebook Messenger等でご連絡お待ちしています。