FACTORIUM update -vol.2.〜起業1年目に取り組んだこと〜
2018年の8月に起業して、駆け抜けた一年だった。これから起業を準備している人のために、未来のCEOのために、インキュベーションパートナーのために、どんな思考回路で物事を決めていったのか、価値基準・行動基準のようなものをお伝え出来たらと思う。
1.自分の動機に向き合い、出発する。
37歳で独立するには、非連続なことをテーマにするにはリスクが大きい。まずは、自分のキャリアの棚卸しからはじめた。私は転職4回している。転職市場ならデメリットだが、それは価値社会においては、ポジティブである。
一つだけ共通点があるとすると、すべてデータを活用した仕事をしていることだった。CRMもマーケも新規事業も、なんなら、セキュリティをやっていた時も、私の仕事はすべてデータドリブンだった。「データ」が起点になった。
起業するときに、
・世界を変えてやろう、イーロン・マスクになろう、なんて崇高な気持ちはない。
・貧困層を救いたいとも思わない。
・社会起業家が言うような原体験もない。
・すごいギークでもない。
起業家の成功談に書かれているほど、原体験は私にはない。これはコンプレックスなのだろう。
でも、自分自身に向き合った結果、ただ、これまでの仕事のスタンスの延長線として、データを使って、不を解消したいだけ、だった。そのプロセスが楽しい。それが楽しいからという理由でそれを商いにしようと思った。
2.ユニークな旗を立てる。
昔から数学が好きだった。ビジネス(商い)も好きだった。スタートアップも新規事業もオープンイノベーションも好きだった。それらが融合して、ユニークなものを自分の旗としようと考えた。
数学用語の階乗=!をご存じだろうか。
たとえば10!は?
1×2×…10=3628800
めっちゃ大きな数字にならないか!!!。
このように思ったよりも数字が大きくなることを、「!」と表現し、それをFACTORIALという。日本語では、階乗という。
会社名はFACTORIUM(ファクトリアム)にした。だから、ロゴは、!なんだけど、上手くデザインできないので困っている。
次に、根源的な自分の欲求に向き合いたい。
私の最後のキャリアは、「伝統的な日本企業の新規事業開発部」にいた。なんと、140年の歴史がある日経新聞ですよ。
でも、2017年に、10社の新規事業責任者のオファーを貰って、条件もそれほど良くない、クソみたいな役員が多い日経新聞の社員になったかというと、それ以上にそこに価値を感じたはずだからだ。極めて合理的な意思決定ではない。
「古き良き大きな日本企業をトランスフォーメーションすることで、次の時代に大きな変化を与えられると思ったから。それは、新規事業開発家としては最高の仕事だと思ったから。」
だから、FACTORIUMの創業の動機は、「日本の新規事業開発部を担う」とした。
初めて会う人に大真面目に、「この失われた30年で、日本企業は安売りの連続で、輝いたことは一度もなかった。私は、デジタルの力によって、次の30年でもう一度、日本が勝てるようにしたい。なぜかわからないが、日本人である私はそう思う。古い産業をデジタルトランスフォーメーションで、「日本」を世界にエントリーしないか。それを、一緒にやらないか」という提案をしている。
日本にこだわり続ける自分がいるのは何故か未だにわからない。
だが、世界の企業価値ランキング100に日本をエントリーさせるのは、私の仕事だ。
※これは、マーケットが日本と言っているわけではない、海外に出ていくことを前提としている。
3.マイ・セールスシートを作って売り込む。
会社員の頃は、上司が仕事やテーマを与えてくれて、こたえていけばいい。そんな栽培マンたちは、思考停止モードになる。独立すると真っ先に考えるのは、他の人たちと比較して、「価値」があることはなんだろうか。圧倒的に負けないことは何だろうか。
私の場合は
1.数理工学の大学院を出ていて、実務でデータサイエンスの理解がある。(可視化、最適化、自律化)
2.デジタルビジネス経験(サブスクリプション、マッチング、メディアECなど大体のビジネスを経験している)
3.大企業でゼロイチ、15回(新規事業コンテストにも2回入賞しているし、事業責任者も何回もやった)
という点をしつこいくらいに説明する。レアで価値があることを10年前から考えて行動してきた。
これを「パッケージ」にすると、
・事業開発ノウハウ(市場機会の特定、デザインスプリント、人間中心設計、アジャイル開発、グロースハック、KPIマネジメント×30以上の領域の経験:現在は50くらいの領域に対応できる)
・ファブレス開発(優秀なエンジニア、デザイナー、データサイエンティストが私の周りにはいる)
・科学的なプロセス(科学的に新規事業の精度を高める手法、顧客開発の手法、独自のリサーチ手法、開発体制)
など。顧客が選びやすいようにした。
顧客反応は、戦略の策定、デザイン、開発、チームアップ、資金調達、グロース、組織開発、KPIマネジメント、トランスフォーメーションなどの全部の業務をやったことある人はあまりにも少ない、ということで、どんどん受注できた。
受注率は40−50%くらいで、おそらくかなり高い方だと思う。
実際に、この1年間でワークショップの資料や研修の資料だけで300ページくらいアーカイブができたし、各事業のステージや新規事業開発パターン(戦略志向、未来志向、顧客志向、シナリオ志向)に合わせて、提案できるようになった。新規事業の本を読んでも実務レベルでは、自分の方がよくわかっていると思うように、革新できた。
4.事業ポートフォリオを考える。
独立とはBtoB営業とっていも過言ではない。実際に、一人で会社をやるのなら、どれくらいの案件が回せるかを計算する必要がある。
目標設定例
・50万円×10社で500万円を目指す。
・たまに、大きな開発をやる。(ただ、唯一無二のものだけ)
活動
・月に新規リードを5社創る。
・受注確率を30%にする。
・合う前に、受注確率を図る。(遠方は特にそう)
結果
・20万円×5,6社=長期契約
・50万円×2,3社=短期契約
・100万円×3社=POC
くらいな感じで、平均12社くらいを契約している。しかも、トラクションがあり、常に案件がある状態で選ぶ立場になれた。
粗利ベース300‐600万円で設計できた。役員報酬を100万円したら、200万円くらいは、キャッシュがたまってくる。それで会社を1社買収して、1社会社を作って、Labo的にプロダクトを3つ作った。これが、Startup Studio/VentureBuilderの原型になる。
キャッシュが溜まりそうなので、アイデアを作った。データサイエンスという武器×業界できっていくと、60本くらいのアイデアができた。3時間くらいかかった。10年以上新規事業をやってるから、ネタ帳はかなりある。
大事なのはポートフォリオで考えることだった。
ポートフォリオの考え方
1.課題の不確実性:課題の質(インサイト)
2.技術進化の不確実性:その技術がスケールする可能性
3.マネタイズ時間軸:2年以内、5年のどっちか
で、プロジェクトのバランスを持とうと決めた。さらに、アイデアの質を評価する仕組みを作った。
○イシュー特定×業界の壁×実行難易度
1.イシューの特定:インターネット検索では手に入らないPain:深い洞察こそが強固なアイデア
2.業界の壁:その業界に入ろうとすると、それなりに勉強が必要なもの。(例えば、宇宙、食、製薬、漁業とか)
3.実行難易度:実行力、地道に:やる気がある人がいれば、本来できるはずなのに。すぐできないもの:すぐにできるものは、やらない。
そこで、狙った業界は、「不動産」「素材」「食」「ゼネコン」「水産」「アパレル」「エンターテイメント」などである。私が知らない業界でデジタルトランスフォーメーションがまだ十分に浸透していない業界。当然、入り込むには時間と労力がかかる。自由に動ける今ならそれができる。
自社案件も、顧客案件もステージゲートで考えた。
○FACTORIUM Studioのステージゲート
1.リサーチ探索フェーズ:予算40万円(ビザスク)
2.コンセプト設計:予算100万円(UIデザイン、UIインタビュー、モックアップ)
3.プロトタイピング:予算300万円(データ分析)
4.MVP開発:予算500–1000万円(動くもの)
5.β版:予算1000–1500万円(ユーザーに届けられるもの)※外部資本注入
6.正式版:予算3000‐6000万円
7.グローバル
現実的には、もっともっと細かく規定を持っている。ちなみに、私は一人の会社であり、オーナーであり、自分で投資を決められる。だからこそ、客観的なルールを設けなければならないと思った。
成績
・1–3の段階に来ているのは、6つ。
・4の段階にきているのが、DATAFLUCTシリーズ3つ
・5の段階にきているのが、reporu
なので、1年間に、6本くらいはローンチできるようになってきた。思ったよりも費用がかかるものの、意外と安く済んだものもある。あまり公開できるものが少ないが、これからの連続的なローンチ展開を楽しみにして欲しい。
https://eiicon.net/about/corporate/case06.html
こんなことをしている私の会社は、投資額が大きいので、火の車である。稼いで、すぐ投資。失敗する。また、投資。これを繰り返す。
もし、個人レベルで経営している会社で、デッドで調達して、さらに、新規事業に投資して、赤字になっている会社がいれば、ぜひ話を聞きに行きたい。
多くの人に聞かれるが、私は、コードを書かない、デザインもしない、営業としない、やるのは、プロデュースであり、ビジョンを語り、顧客開発のみをやる。他は、アウトソースでやる。だから、同時多発開発ができる。
5.生産性ハックを蓄積する。
Startupプロジェクトをもっとやりたい。事業をもっと創りたい。そのためには、クライアントワークなどの仕事の生産性を高める必要がある。プロダクトを創るスキームも生産性で語れる。
そこで、5つの方法を編み出した。
生産性とは、(価値/コスト・時間)という考え方で、時間かお金を投資して、価値がどれだけ返ってくるかで意思決定をしている。
なるべくデジタル化したり、無駄な飲み会をしなかったり、必要ない仕事をしなくするのは、当然だ。
加えて、以下を考えるようになった。
○経営者としての生産性ハック
1.固定費ではなく、変動費:固定課金のものは、なるべくやめた。なんでも、自分でやってみる。一度は、自分でやってみて、外注すべきか考える。なるべく、スポットでお金が出ていくように設計した。
2.ステージごとにメンバー集め:スタートアップのステージごとに、参画するメンバーを変えていくことを決めた。最初から必要のない人は意外と多い。そこもコストダウン。
3.報酬ではなく、学習ドリブンで案件を:私の場合、仕事内容によって金額が決まるのではない。私の学習意欲がそそられるものは、単価を下げてでも取るようにしている。(例えば、ゲノム×データサイエンス事業開発はとても勉強になる。)
4.時間を奪われる人とは距離をとる:世の中には他人の時間は無料だと思っている輩が多いぞ、気を付けろ。ちょっと話を聞きたいとか、意味なくミーティングをしたがる人は多い。
5.信頼を蓄積する:信頼残高という言葉があるように、身に染みるように、それを最重要KPIだと思うようになった。結果的に生産性が上がるようになっているからだ。
生産性の話は、意外と多く人には刺さらない。そこまで追い込まれたことがないからだ。自分の場合は、1時間が、5–10万円のお金に変わるから、無駄なものは排除しなければならない。弁護士がタイムチャージな理由も納得できる。
私の顧客のほとんどの企業は、大手企業で「生産性の低い」仕事をしている。それが、日本のGDPが下がっていく原因になっている。でも、現場の人達は、生産性が低いと思っていないし、高めたいとも本気で思っていない。高めても給料が変わらないからである。
あと、新規事業は、気合いではない。科学的に顧客開発ができる。それは、これまで30の事業開発をやってきたからできることだ。
6.仲間を勧誘する。「砂糖水を売ることよりも、一緒に世界を変えないか」
いろんな意味で、毎日、仲間を集める活動をしている。仲間を集めることに関しては、生産性の概念は通用しないし、いらない。
私の一番の仕事は、未来のCEOに会うことだ。それと、自分の仲間にすることだ。
〇「誰を俺の船に乗せるか」の法則
1.相手に期待しすぎない。(仕事をする前に、評価をするのは不可能。行動がすべてなので、まずはやってみることを考える)
2.知り合いの知り合いがベストだけど、新規も取りにいく。(知り合いの知り合いはリスクが低いだろうけれど、スーパーマンに合えない。私は本当にすごい人と出会いたいから、新規もどんどん出会う)
3.リスクを取らない奴とは組まない(うまく行きそうになったら、声をかけてくれという奴は、一生、声をかけることはない)
4.騙されることも計算に入れる(人選びも確率。正直うさんくさいなーと思いながらも、仕事をやってみて、あとから判断しよう)
5.相手の動機の源泉を探る(その人が私の船に乗ろうとしているのは、ノウハウがほしいからか、お金がほしいからか、知り合いだからか、世界を変えたいからか、暇だからか、私と一緒にやりたいからか、テーマが好きだからか。結局の所、どれでもいい。それがわかればなんとかなる)
かなりの確率で私は、騙されたと思う。でも、その人を恨むことはしない。二度と近寄らないようにするだけだ。
私の強みは、何か?それは、人を見る能力だと言える。
7.人生の到達点を決める。
ある程度のお金が入ると、突然、やる気が損なわれていく。利益を出せばいいなんて嘘だ。
理由は、税金のせいだ。稼げば稼ぐほど、PL的には効率が悪くなる。利益を残しすぎることは、悪で、それを使って、価値に変えた方が絶対にいい。
最たるものは、会社を作ることだ、会社を作れば、社会貢献が客観的にはかれる。会社を作って、資本を持てば、税金の問題はクリアになる。だから、会社を作ることは正義である。
○私の人生のKGI
・Ownerとして100社作る
・グループ合計の時価総額:10兆円 ※時価で、簿価ではない(30年後)
みんな冗談だと思っているけれど、来年は、8社作れる。最短で10年、最長でも15年で100社は到達する。※FACTORIUMグループは、三社あり。そのうち、二つは、外部資本を入れる。
○上記を達成するためのKPI
・1年に10人CEO候補を見つける
・そのために、あってもらえるために、自分の実績を積む。
正直なところ、CEO候補は、今、7人いる。経験は浅いが、極めて優秀。だけど、当初の計画から未達成。もっといないかな。一緒に未来を変えてくれるCEO候補が。
8.行動指針を創り、貫く。
営業していると、常に心は揺らぐ、目の前の利益は魅力的だからだ。
自分のビジョンにつながらないけれど、単価が高い案件が舞い込んできたらあなたはどうするか。
○仕事に対する行動指針
1.課題を解決するのではなく、ビジョンを売る。(課題を持っている顧客は少ない。課題がわからない人がほとんどである。でも、更に本当に大切なことは、ビジョンを創ることだったりする)
2.誰もやらない仕事ほど取りに行く。(稼げないけれど、社会的価値のある案件はたくさんある。給料をもらっている大企業の人たちは手を付けていないぞ。
3.アベンチャーズで世界をかえていく。(大体、チーム戦。キャスティングが肝。)
4.できることではなく、やりたいことをやる。(やれることでもない。できないことがなければ、そこに成長も、ユニークネスもない。)
5.ヘリではなく、ど真ん中を狙う。(産業中心に豪速球をなげこむ。)
上記の判断は、大企業ではできなかった。小さいけれども、全部うまくやっていると自負できる。私の上司はいなくて、自分自身で組織に抗う必要はない。行動指針を会社が掲げていて、少しでもズレがあったら、私はストレスが溜まるだろうな思った。
仕事に行動指針を持っているか。人生って信念を貫かなければ、健康的に働けない。
9.はじめての営業を極める。
営業の世界は、まさに組織と業界の力学。暗黙知の世界。これをハックしなければ、大きな産業のスネに蹴りを入れられない。私は運がよく、本当にひどい慣習を持つ、新聞社出身だ。ちなみに、類似企業に営業に行ったことがあるが、だいたい、どこも同じだった。組織と業界に立ち込める、暗黙知。それを理解しなければ。組織と業界の構造をハックしなければ。
○念仏(3RP)
1.RIGHT PERSON
2.RIGHT PROBLEM
3.RIGHT PROPOSITION
— —『正しい人の、 正しい課題に対して、正しい提案をすること』
1.人の正しさ
正しい人に提案して、発注をもらうこと
・事業に、本当に困っていて情熱のある人
・社内でのリーダーシップ(影響力)の有無
・ちゃんと予算のある人2.課題の正しさ
課題は何かを正しく特定すること
・解くべき課題を正しく特定すること(絞り込むこと)
・それが起きる背景を正しく理解すること
・課題が解決できない組織の構造を正しく理解すること3.提案の正しさ
弊社が解くべき課題に対して、過不足のない提案をすること
・自社の論理だけで提案しないこと
・お互いにとって過剰な提案をしないこと
・自社だけでできる提案はしないこと(必要ならパートナーを連れてくる、何でも調達する)
これが営業の鉄板だと思った。法人営業はじめて1年の素人で、いろいろな失敗を重ねた。
○業界と組織をハックする。
1.予算があり、危機感をもつ企業を狙え。(大体の企業は、無理して、新しい投資をする必要がない。なにか理由がある企業を狙う)
2.組織のミッドフィルダーを狙え(組織連携できない部署からの発注は考えものだ。予算の額ではなく、情報が集まる人が一番いい)
3.投資をできない会社をどうするべきか。協業の道を辿れ(お金が無くても、お金に変わる価値を持っている会社はたくさんある。予算がすべてではない。)
4.組織の価値基準を見つける(これまでの投資理由とかを徹底的に初回に聞き出せ。)
5.決済額の上限を狙う(役員だから決済できるわけでもなく、担当者でも600万円くらい出せる人もいる。これは業界によって違う。)
様々な業界を営業すると、大体、見えてくる。
営業については、これまで毛嫌いしていた。それでも、一番楽しい仕事だ。60分のアポを「芸術的に」デザインする方法をいつか書いてみたい。
セールス(顧客接点)からビジネスははじまる。
間違っても、自社の会議室ではない。
10.言い訳データベースをつくる。
新しいことを提案することが私の仕事だ。故に、ノーというのが顧客の仕事でもある。なんて皮肉だ。
○イノベーションの弊害の5パターン
1.タイミングが悪い(今じゃないんだよな!これが一位)
2.やりきれなくて時間切れ(担当者の異動という魔の期間)
3.新しすぎて理解されない(これは役員をシリコンバレーに視察にいかせてもかわらない。)
4.ないものを見せられない(企画書は意味がない。ブロックチェーンやAIの概念をどう伝えられるか。)
5.組織を調整できない(結局本気じゃないんだろう)
そもそも、
顧客ヒアリング1件でニーズがありませんでしたと、撃沈するパターン
50万円でモックアップも創る予算が得られないパターン
上司とのディスカッションを3ヶ月も会議室でやっているパターン
もある。本当にダサい。
大企業の新規事業は、内部要因で撃沈する。
そして、その要因は「上司」である。
なので、最初にミーティングに30分かけて、これまでいかに事業検討が止まったかという事例を(社名を隠して)説明してあげる。
もう言い訳はいい。仕事をしようぜ。
それでも、私はイノベーションを一緒にやるパートナーを信じている。
ツンデレ野郎だと思われているかもしれないな。愛はあるぞ。
11.新規事業ごっこの先にあるのもの
企業の担当者レベルが新規事業を会社に提案する機会は増えた。その都度、アドバイスに入ってほしいという話がよくある。新規事業コンテストはあまり好きじゃない。部下が会社に提案して、大きなイノベーションが生み出せるとは到底思えない。
なぜか。
○新規事業において大切なこと
1.オーナーシップ
上司に説得するよりも、自分がオーナーになればいい(本当にやりたいなら100万円でなにか作ってみては?その界隈、やりがい搾取のコンテストばかりだ。)
2.プロダクトアウト思考
具現化してこそ、アイデアを伝えられる。顧客の声を聞くのってあとからでいい、まずは、自分が作りたい世界を描いてくれ。
もちろん、具現化できるほどのリサーチが必要だけど、それは具現化のためにある。
3.考えるよりも、作って、試すこと
つまるところ、顧客検証までをいかに早くやるかである。新規事業こんtネストで企画書100枚は本当に無駄なのでやめてほしい。顧客に会いにいけ。
4.予算をもらう前に作ってみせる
Startup Way、私はそうやって戦う。予算がないなら、自分でPPTで起こせばいい。あるいは、WEBやアプリ制作の学校に通えばいい。Udemyでもいい。
5.いいかげん、技術にとらわれるのはやめたほうがいい。
技術から価値を抽出してお金に変えられる方法を考えてほしい。
ビジネスとは、「安く仕入れてたくさん、あるいは、高くうること」そのための技術なら価値がある。
6.組織が主語であるはずがない
ビジネスの出発点は、課題をもつN=1との出会い。挑戦する理由は組織にはない。個人で会ってほしい。
今、インキュベーションプログラムもどんどん増えている。社内の新規事業コンテストよりも、社外のほうが圧倒的に機会がある。その機会を活用したほうがいい。(ごっこ系の案件は、もう受注しない。私の時間が無駄なので。)
私は会社員として新規事業開発に翻弄された11年だった。本気の人がいないなかで、自分だけ本気になっているのって辛かった。そういう人はチャンスに飛びついたほうがいい。
批判的なことを書いたけれども、私の顧客の大半は、本気で新規事業に取り組もうとしている、日本でも稀有な組織ばかりである。
12.Venture BuilderにFocusする。
行き着いた先は、一つのビジネスモデルだった。
それが、Venture Builderである。要するに、新規事業をやるのではなく、会社を創るくらい、大きな事業開発をすることを目標としたビジネスモデル。その会社がIPOするとか、M&Aするとかではなく、オーナーシップの観点、スケールの観点、オープンイノベーションの観点からこの方法が良いと思っている。
私はコンサルで儲けない。ジョイントベンチャーになるものを選ぶ。受託開発もするけれど、それはいつか協業するためのものである。3ヶ月以内に、ジョイントビジネスに向かわないなら、契約を取り消す方法な気持ちで受注することにした。
○ベンチャービルダーのメリット
・成功確率が高くデータビジネスを立ち上げられるから(ベンチャと大企業の両面で戦う)※ノウハウがめっちゃ大事
・ほかにいない。
・リソースが固定しないので、連続的に立ち上げられる。
デメリットは、新しいスキームなので、顧客はピンとこない。アクセラレーションとかCVCよりも茨の道。
何でもやるわけではなく、ビジネスモデルの基準を作り、当てはまるものを受ける。
○基準1:解決したい未来課題
1.新しい資本主義、経済成長
2.非デジタル産業の生産性向上
3.パーソナライズと新しいUX
4.製造、アパレル、食のオンデマンド化
5.食、工芸、伝統の継承
6.データエコノミーの再定義
7.価値の個人の表出化:プロフェッショナルギグエコノミー
8.人類の能力のアップデート:ハードウェア
9.老いても幸せになれること:美容
10.SDGsをデータビジネスで解決する
○基準2:狙う領域
1.今後大きくなる市場(数兆円)
2.大手がやりにくい領域(境域、学際、デジタルサービス)
3.GAFAにデータ収集で負けない領域
4.知識参入障壁(深い業務理解、深い技術理解)
5.はじめやすい領域(免許なし、)
6.データが価値を生み出す領域(仕入れ、作って、売って、継続する)
基準3:ビジネスモデル
1.AI/IoT/RPA/5G
2.Blockchain/Sharing/uberization
3.D2C/Personalize/Ondemand
4.Matching
5.Bigdata
おかげさまで、色んな人が私に案件を持ってきてくれるようになった。1日1,2件の電話がなる。トラクションがあるのはいいことだが、基準がないと、悪い案件ばかりになってしまう。だから、KGIに向かうためのルールを決めた。
※FACTORIUMは、開発・出資・メンバーアサイン・運営を行い、クライアントがCEOを担うパターン
Venture Builderモデルで今、3社くらい立ち上げる話をすすめている。
名もなき私をパートナーとして選んでもらえ、とても光栄であり。
私は、その名に恥じない結果を出してみせよう。
13.テクノロジーと未来を味方にする。
今年の案件のほとんどは、AIと言っても過言ではない。AIばっかりやっていたら、次のトレンドを追いかけられなくなる。だから、未来予測と手に入れるべきテクノロジーを探し続けている。ヒントはSFにある。
○弊社が着目している4つのテクノロジー
1.AR Cloud(ARで空間認識して、DBにして、MRで可視化)
2.ゲノム編集(データサイエンスのテーマ)
3.Smart Mirror(顔認証を始めとした、新しいデバイス。新しいインテグレーション)
4.IoTとエッジ(ラズパイから量産へ。ハード開発が前提)
いつか見たSF映画のような未来がそこまでやってきている。5G に期待しすぎるのも良くないが、1年単位でテクノロジーによってできることが格段に増えている。今年できなくても来年できることがある。それくらいの時間単位で実現できることが増えている。だから、その知識を蓄えるために、Laboを作って、開発をしている。
データサイエンステクノロジーの未来は加速する。未来のためなら、お金を使って、開発する。それは、投資と言える。
いつかチャンスに飛びつけるように、私には学び続ける使命がある。
14.1年前とは違う世界が見える。
数を打ってせて、ナンバーワンをねらいにいく。ユニコーンになることを目指すのではなく、IPOを目指すのではなく、明確にGAFAをたおしにいく。私にしか見えない世界かもしれない。
今は、スタートアップのことで頭がいっぱいだ。
ビジョンは変わらない
・データサイエンスをみんなのものにする。
・データサイエンスで社会課題を解決する。
・価値や信頼を表出させたい
今や、薄っすらと思っていたことが、ようやく、キレイな道筋になって見えてきた。
2019–2020年のテーマ:
「熱意を持って衛星データを、世界中にうりにいく。」
「同時多発的にデータビジネスを立ち上げる。」
「どこにいても、どんな立場でも、どこまでも働きやすい環境を創る。」
それが今の登るべき山である。
15.もうすぐ、人を雇う準備ができる。
人を雇う=その人の人生の責任を背負う、ことにほかならないと思っている。とても重要なことだ。勝ち目がないとそれをやってはいけない。
経営者として1年間は、一人でやってきた。誰も雇用はしていない。
だけど、この1ヶ月で雇用前提の社員候補を5名くらい採用した。
今は、お金がないから、副業・業務委託だけど、1年以内にフルタイムで雇いたい。
今、仕掛けていることが、徐々に形になり始める。
怒涛の一年が始まると思う。
私は、とても優秀なあなたに向かって言うだろう。
うちは前代未聞のことを同時にできるチームとビジョンがある。
「これまでにない大きなデータビジネスを、世界にしかけてみないか」
だ。