withコロナ:破壊の後にやってくる新たな産業革新

How to innovate with Corona

連日の新型コロナウィルスの影響をみているとため息をついてしまう。

私たちの生活だけでなくビジネスのあり方も価値基準も人間関係も国家関係もありとあらゆるものを変えていく。グローバル資本主義が正しい方向だと思い込んでいた私たちは、ネガティブなイメージで日々覆われていて、鎖国というイメージが先行するかもしれないが、あなたがアントレプレナーなら、これをチャンスと思うべきだろう。

コロナの影響が10年続く、と仮定する

連日の報道やスティーブン・ソダーバーグのコンテイジョン(映画)を見ておもうことは今後、10年間はコロナウィルスの影響は完全になくならないだろうと思う。

問い1:人類全体にワクチンがいきわたるのはどれくらいかかるか?

楽観的に考えようとしても5月や6月という時間軸で全世界の感染者数はゼロにならない。アフリカ大陸、東南アジア諸国にも広がり、人類のXX%は感染するだろう。日本には、手洗いやマスクの習慣があり、BCGワクチンを打ったりしているし、ITが発達している方なので混雑しなくてもそれほどストレスなく都市生活を過ごせる。

発展途上国はどうだろうか?日本やアメリカなどの一部の先進国が抑えられても、1年や2年でおさまるだろう、という楽観的な意見にどうしても納得がいかない。2021年開催のオリンピックも本当にできるのか。

医学と製薬のスピードは、信頼できて2年には、裕福な人たちにはハッピーなニュースが舞い込んでくるだろう。(映画の中では、ワクチンが製造されるまでに相当の時間がかかり、国民全員に配るために誕生日を抽選で決めて365日かけてワクチンを打っていく。)

しかし、ソーシャルディスタンスを維持しながら、全員にどうやってワクチンを打っていくのか。どう考えても行列ができるだろうし、世界中の人に「三密」を避けながら、ワクチンを打ち終えるのは10年かかるんじゃないか、とも考えられる。

問い2:失われた信頼関係の中でグローバルな資本主義は復活するのか?

リアリズムとは、アメリカファーストのような国家の利益を最優先する考え方。自国でマスクをつくって、まずは、他国に渡したくないという考え方だ。日本でもマスクを爆買いする人が増えたが、真に必要な医療従事者やロックダウン後のインフラを動かす人のために、マスクを配るべきだと思うだろう。でも、私たちは全体最適のことを考えて、現実的にそんな意思決定ができるだろうか。(いや、できただろうか)

私たちのようなテレワークで生きていける人たちはマスクを買わない方がいいかもしれない。しかし、みんな現実的に利己的に、短期的に考えるのが人間というものだが、自分たちを優先する。

これを、「国家と国家」という関係性で整理すれば、「グローバルな経済活動」が復活しないのが説明できる。十分にワクチンが行き渡り、IT環境が整い、距離が保てる「国家」はどれくらいあるのだろうか。資源を持つ「国家」がそうでない国家に対して「国家」に対して、全体最適を考えた支援ができるだろうか。

問い3:グローバルなリーダーは存在するのか?

閉じられた社会の中での「外部性」を考え続けてきた私たちが、グローバルというフィールドで、経済活動の「外部性」を考えられるようになっていない。

今の世界にはリーダーがいない。9.11のときのような結束力はアメリカにはない。自国ファーストであればあるほど、票を集められるからこそ、この問題は解決できないだろう。グローバル社会は崩壊して、再び、リアリズムが台頭するだろう。

現実的に権力を持つのは一部の富裕層だが、その資本を地球市民レベルで投下できる人は一部しかいない。(ビルゲイツとかね!)

自国の感染者数を止めても、隣の貧しい国の感染者数が増え続けるということになる。貿易は決してなくならないのと同様に、感染者数は緩やかに世界的に増え続けるはず。

悲観的なシナリオだけど、日々のニュースを見えると否定できないもの。

私たちアントレプレナーが見るべきは、その先を読むことでしかない。

これからくる世界はどんな世界か?

シーン1: 多くの廃業者が出た後に、新しいデジタルな流通が生まれる

飲食店や宿泊施設やレジャー施設などの売上ダウンは想像しやすいだが、漁師や農家などの「生産者」も廃業していくだろう。

「生産者」までコロナの影響をどう受けるのだろうか。

市場での価格を下落しているのは、これまでの「魚」を買ってくれた飲食店がこれまで以上に注文しなくなるから。かといって、その分を、食品スーパー経由のサプライチェーンで賄うことはできない。その結果、市場取引価格は、原価割れを起こし、生産するコストこそが無駄になる。

資本主義を回すためには、サプライチェーンが正しく機能することが最も大事だが、デジタルに遅れたこの世界ではEndtoEndのマッチングは難しい。これまで市場に頼りすぎていて、D2C、ECのような直接販売するチャネルを持たない企業は淘汰される。

取引ができる「市場」という意味は、そこに「買い手」「売り手」が集中的に「リアルに」集まっていたから意味があった。

生き残るためには、流通のDXを進めるしかない。リアルな「市場」よりも「地産地消のデジタル流通」にシフトするだろう。

既得損益だけで「生産者」をいじめてきた人たちは、デジタルによる再定義される。

D2CやシェアリングやEndtoEndのマッチングにチャレンジする私たちアントレプレナーは、今こそチャンスである。

シーン2: リモートツールのおかげで、価値ある人に仕事が集中する

リモートでいいものはリモートになる。

大企業の役員たちも、ついにTEAMSやMEETを覚え始めた。その味をしめたから、その便利さを手放さないだろう。

日経新聞社の社員だった時の話だが・・・一言も発言しないような管理職が三十人位集められて広い会議室で爆睡していたおじさんたちが、「なぜ年功序列というルールの中で私より給料が高かったのか」と今でも腑に落ちなことがあった。社内にいた多くの発言しない会議の参加者はいよいよ意味がなくなる。

物理的なハンコもなくなった世界で、PDFやTEAMS等で明確に指示を出したり、意思決定ができる人は意外と少ない。ITリテラシーが極度に低いこの国において、無意味な40代以上は肩叩きに合うだろう。

だってさ、ZOOMみたいなビデオチャットツールで議事進行しているシーンにおいて「ちょっとまってください!」他の10人以上の参加者をMUTEにしてまでお前が発言する意味があるのか?って思う。これまで寝ていた人がここぞとばかりに、オンラインで時間を奪うことができるわけがない。年功序列の社会の中で価値を発揮していなかった人たちは、業績悪化を理由に、早期退職を進められるか、オンライン会議にずっと呼ばれない人になるだろう。オフィスも狭くなるだろうから、来なくてもいいと言われたりするだろう。

死ぬ気でデジタルトランスフォーメーションの波についてくるか、コストリダクションの対象になるだろう。

私たちアントレプレナーは価値がある人に喜んで仕事を作る。

シーン3. 大規模イベントは開催されない代わりに、デジタルなウェポンを磨き込む

カンファレンスも株主総会もリアルでは行わない。

大宴会も結婚式も合同説明会もソーシャルディスタンスに慣れた私たちの生活は「集まること」の意味をアンバンドリングしはじめる。

6月ごろに感染者数は引くかもしれないが、大規模イベントやフェスをすると、マスメディアとSNSから非常識だと叩かれるだろう。

はフジロックにいきたい!!!

キャンプイベントに行きたい!!!

リアルなイベントは大好きだ。

でも、大規模開催したら、正義ずらした人たちがホコリが出るまで叩きのめしてくる。この2年間くらいは。

営業戦略も、採用戦略も、日々のパーティも、すべてデジタル化が求められてくる。この際、デジタルな武器を徹底的に作りまくって、「イベント」や「対面で会うこと」がなくてもしっかり「ディール」が作れるようにしなければならない。

私たちアントレプレナーこそが、先人をきって、営業・採用戦略そのものもデジタルトランスフォーメーションしてやろう。私が経営している会社の組織はすべてフルリモート、フル業務委託、フル変動費型なので、あとは、「営業」「採用」さえデジタルになれば、どんなに離れていても強くなれる。

シーン4. 店舗がシャッターを閉めた後、リアルな場所の価値が再定義される

某アパレル大手がこの期に大量に店を閉めた。

おいおい、アパレル企業ってほとんど利益率が低い理由にデジタルトランスフォーメーションしてこなかったからだろう!!

こんな世界がくる前に、OMOやDXやECに投資をしていた企業はほとんどない!!!2年前にコンサルを始めた時にアパレルが多かったが、マジで数年後にリアル店舗の価値なくなりますから、今のうちに、オンラインでがっつりエンゲージメント高めてたほうがいいっすよ!ってしつこく言っていたのだが、「もっと人間的なリアルの価値を追求したいんだ」といっていたあの社長たちは、「コロナのせい」っていって店を閉めるのだろう。

ただの経営が下手なやつだと思っていたが、これを機に、バッサリ、大量解雇できるので、踏み切った改革ができるだろう。

食品スーパーやドラッグストア以外の多くの店舗経営者たちは「店舗が本当に必要なのか」を考え始める。

この立地にはどんな意味があるのか。

この商圏にどんな意味があるのか。

店舗に接客する人は必要だろうか。

とはいってもドンキホーテは最高だ。生活に必要なものが置いてある。だいたい何でも揃っている。(中目黒・渋谷近辺にいるものとしては・・・ドンキだけでよくね?って思ってしまう。)

アパレル店舗の意味が「試着」「体験」「接客」「立地(銀座・表参道にあるとすげー感)」だとしたら、それらはすべてバラバラに分解できるぞ。それこそ、デジタルトランスフォーメーション。

試着ルームがあればいいのでは?

接客もバーチャルでいいのでは?

店舗を持つことの意味は何だろうか。

くしくも、私が独立して自分のお金1000万円突っ込んで作ったDATAFLUCT marketing.は、AI出店支援サービスで様々なビッグデータを活用して機械学習で「立地」を科学できるものだった。

残念ながら、今、「出店」を本気で考えるプレイヤーが少ないので、ピボットしなければならない。私たちは先人を切って、「店舗」(「不動産」)の価値をもう一度、価値あるものに変えて見せたいと思う。

破壊の神様とともに、コロナシフトする

ここからは、私が経営しているDATAFLUCT、reporu、FACTORIUMの話今こそ、全ての事業を見直している。

基本方針1. リアルビジネスのすべてのコロナシフトする。

まず、私たちは店舗ビジネスがどれだけ厳しい目に合おうとも、「復活」にむけて次から次へと、新たなサービスを開発する。店舗ビジネス経営者にとことん付き合う。アフターコロナにこそ、必要なサービスを提供する。美味しくて価値のある食べ物を提供してくれる文化をたやすべきではない。大切な人との宿泊体験もなくしたくない。飲食だけでなく、あらゆるリアルビジネスは意味がある。DATAFLUCTができることは、アフターコロナでも経営が安定化できる仕組みの提供だ。データサイエンスの出番だ。

リアル店舗は、不動産を長期で契約して、正社員やアルバイトを雇用して、多くの品揃えのために、たくさんロスを出してしまう。

DATAFLUCTは、変動経営という方針をとっている。フルリモートワークで場所を持たないし、フル業務委託で案件発生時に人を増やすし、在庫も持たなくてもいい。すなわち、潰れない。この仕組みを店舗ビジネスにそのまま流用できるわけがないが、「変動費化」が店舗ビジネスのDXの本質だと思っている。

長期的に見えれば、新規のための広告費は「悪」になる。なるべくリピート客を愛せるように「CRM」に投下してもらうことを考えなければならない。だから、店舗としてのマーケティング(MEO・SNS・CRMなど)も強化するし、AIによって業務も自動化して削減するし、より正しい不動産価値評価が必要にあり、金融的なバックアップも必要にある。

DATAFLUCTのリアルビジネスのマネタイズモデル=「金融(金貸し・投資)」「シェアリング(共有化・変動費化)」に寄せていく必要があるだろう

基本方針2. デジタルで新しいマーケットプレイス(商流)を作る

DATAFLUCTはフードロスなどの流通や物流や生産のサプライチェーンに着目していた。「D2C(直売)」「C2C(コミュニティ内交換)」「地産地消MP」の仕組みを長期的に仕込んでいる。(今後公開)

基本方針3. 次の社会インフラに投資する

アフターコロナでもなくならないのは「モビリティ(移動・物流)」「エネルギー」「生産支援(農林水産)」なのだろう。各サービスにおけるデータレイクを取りに行くために、具体的な技術を作る。(今後公開)

基本方針4.リモートだけど最高の適応できるチームを作る

リモートだけどしっかり営業をクロージングする。

クロージングできない企業はなるべく避けて、DXをやる企業と付き合っていく。パラダイムシフトについてくれる前向きな企業と組んでいく。

オンラインで売るためのWebinarや動画SNS戦略も本腰をいれないとな。

うちはフルリモートだからこそ、人間関係やチームワークが最高な組織を作りたい。強いものではなく、適用できる組織になろう。

##破壊の後に産業革新を生み出すのは

米国の成長率はリーマンショックの時、2–3%減。しかし、今回 のそれは5.9%減が予測される。今回は、あらゆる産業を破壊していくだろう。

でも、金融業界は死んでいないし、生活基盤はストレスを感じるものの生きていける。生きていけるだけで十分しあわせだと思う。

ゆえに、これは私たちアントレプレナーにとってまたとないチャンス。

破壊の神様は必ず新しいイノベーション(産業革新)を生み出す

多くの企業は新しいチャレンジをしなくなる。現に私のクライアントの半分程度は、新規事業自体の検討に支障が出ているし、デジタルの予算もがんがん削っている。

もし大企業が新産業創出に踏み込んでこないのなら、それは、まだ資本力がなく、才能とスピードと情熱を持つアントレプレナーにとってまたとないチャンスだ。

そう思わないか。

その時代の中心に居よう。

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久米村隼人 Hayato Kumemura / 株式会社DATAFLUCT 代表取締役CEO

datasciece for everybusiness! a Data Science Startup Studio DATAFLUCT CEO / ex-Nikkei,Recruit,MACROMILL,Benesse,JAXA.