やっぱり、データを商いに。
挑戦には価値があると信じるあなたと一緒に、世界を変えていく。
今回、シリーズBの資金調達ができたので、率直な思いを書き残してみたい。
1.リスクをとって挑戦することの価値
私の会社員時代は悔しい思い出ばかりだ。
多くの人から馬鹿にされ、見下された。
会社の未来を思って、土日祝返上で、家に帰ってから猛烈に勉強をして、飲み会の誘いも断って、新規事業のリサーチをしてしたためた企画書は、中管理職に馬鹿にされ、意思決定者に社長に届くことはなかった。
仮に、届いたとしても何も変わらなかっただろうな。
1年間かけた新規事業も役員が文系出身の人に変われば、「俺はデータとか、テクノロジーとかわからん。もっとフリーペーパーみたいな物理的なものを提案してくれへんかな、」と言われて、次の日に退職願を出した。
10年前はデジタルなんて来ないって言われたな。
「君の自由なアイデアを聞かせてほしい」と言ってきた定年前の役員には、「そんな大きなチャレンジはできないなぁ。もっとすぐにできて簡単に儲かるやつを提案してくれないかな」と言われた。
定年後の人生も、リスクをとって大きな挑戦するということはないだろう。
独立してからのこと。大手企業の人から「一緒に企画を考えていこう」と言われて、徹夜を重ねてアイデアをしたためたら、「このアイデア他の会社とやることになったから」と言われた。
アイデアだけパクられることはよくあった。社会通念として、リスクを取って大きな挑戦することやイノベーションに取り組むことを低く見積もりすぎている。
今も変わっていない。
2. データビジネスを、全ての業界で。
令和になり、独立していろんな業界の人に出会えた。大企業で新規事業やDXを任命された役員と会話する機会が増えた。会社員の時にたくさんの新規事業に挑戦し、大いに失敗したことを語ると、「君は面白いね」と言われた。大きな成功ができなかった、燻っていた分、何度も挑戦し、何度も失敗できた。
失敗はいいことだった。
たくさんの挑戦と失敗をしてきた人が、この非デジタル業界には皆無だった。失敗を恐れる大企業の幹部たちにはないこの経験だった。
透き通った海を突き進む一つの私のボートはどこを目指せばいいかわからない。ブルーなオーシャンなはずだ。ブルーだからこそ、その辺に課題が散らばっていて、その都度解決策が思い浮かぶ。あっちこっちに行きたくなる。目の前の企業の立場に立って、データで新しいビジネスを生み出す方法、組織を変える方法、データ基盤の活用シナリオを提案しつづけた。
最初の年には「弊社のデータを使って一緒にビジネスを考えてくれないか」と言われた。
まかせてください。
次の年には「久米村さんの会社でプロダクトを作ってくれないか」と言われた。
え、本当ですか。頑張ります!
昨年は、「本番運用してくれないか」と言われるようになった。
私たちはあなたの会社の一員です。絶対に成功させて見せます!今では、あの会社のデータ基盤を私たちが運営している。
3. データサイエンス版商社になる
「御社のデータをこの私が価値に変えてみせますので、私にデータを預けてくれませんか」
その噂を聞いて多くの会社が集まってくるようになった。アイデアなら100本くらいストックがある。一つ一つの商談で5本くらいの新規事業アイデアを披露できた。
「どうせやらないでしょうが、このアイデアが他の会社が実行するから覚えてください」という嫌味も言うこともある。
商談をしてニーズがあるものがあれば、フリーランスや副業のデータサイエンティストを集めて、アルゴリズムをいくつか作った。自腹をきって開発したモックアップを持って、提案をした。
私は毎月数百万円の自腹でチャレンジしているけれど、大企業の部長さん課長さんはイノベーションに何十万円払えるのですか。
私のアイデアは、どれも本気ですよ。データ活用でその会社を変え、社会を変えていくものですよ。それを求めているのでしょう。
でも、9割は怯んだ。しかし、1割の会社は私たちと向き合ってくれて、ちゃんとお金を用意してくれて、不公平ではない契約を結ぶことができた。独立して3年目くらいにやっとやりたいことの0.1%くらいが実現できた気がした。
あらゆる業界のデータビジネスを自らリスクを取って創っていきたい。
少し私の小さなボートが進むべき方向は見えてきた。
4. 日本を代表する伝統的な企業とのコラボレーションが実現
コロナ2年目。41歳になった年。
2021年は、私にとって、これまでと違った年だった。
UTECからシリーズAで3億を調達した。
組織の規模が大きくなり、一人ひとりのメンバーの顔が見えにくくなり、組織が生き物のように動き出した。
プロダクトを作るため、多くの顧客にサービスを届けるため。
権限移(委)譲って言葉はかっこいいが、実際はうまくいかない。
自由と責任のカルチャーって言っているが、権限移譲以上にバリューを発揮する人って意外と少ない。お金の動きがみえない。
マネジメントの必要性が増して、投資家から預かったお金をいかに価値に変えていくかばかり考えていくようになった。経営者が乗り越える葛藤を当たり前のように乗り越えて、自然と自分が成長していった。
成長と共に顧客からの相談も増え、顧客の反応も変わってきた。顧客から褒められることが増えた。自分の社員が褒められた時は10倍嬉しい。嬉しさが確証に変わったのは、投資家として、事業化として、もっと一緒に仕事をしたいので、出資したいと言われた時だった。
今回のラウンドでは新たに、国分グループ本社(1712年)、東芝デジタルソリューションズ(東芝は1875年設立)、竹中工務店(1937年設立・元々は1610年に神社仏閣の建築家)、ポーラオルビスホールディングス(1929年設立)、東京貿易ホールディングスのCVC:tb innovations(財閥解体で1947年設立)、三井住友海上キャピタル(大阪保険という貿易の保険会社がスタートしたのは1863年)という伝統的な会社に株主になっていただいた。
「あらゆる伝統的な企業のデータビジネスパートナーになる」
と独立時に思っていたことを実現するための、シリーズBラウンドになった。
私たちは様々な伝統的な企業の方々と組んで、新しいデータビジネスを仕掛けていく。そのためのスタート地点に立った。
やっぱり、データを商いに。
っていい。
5. 大きなTAMと小さなプロダクト
スタートアップは海を進むボートなんかじゃなかった。
本当に・・・空から落ちていく中で飛行機を作っている感じだった。
びっくりするぐらいのお金がプロダクト開発に消えていく。
多くの顧客のペインは見えているが、グッドニュースは少ない。
プロダクト開発はとても難しい。
受託開発は短期利益を生み出すが、プロダクト開発はPMFが遠い。
小さな池よりも、大きなTAMを。
目の前の利益よりも、世界を狙える大きなTAMを。
バーティカルなTAMじゃなくて、ホリゾンタルなTAMを。
Why There?Why This?Why Now?Why Us?Why I?
そこで勝てなきゃ意味がない。
なぜ勝ちたいかって?
そりゃ、どんな大きな企業も安心して
DATAFLUCTにデータを預けてもらえる
存在になるためだろう。
多くの企業がそれを望んでくれたが、DFの社員の数を聞いた時、顔が曇ってしまう。提案はいいけれど、まだ信頼できない。
御社はまだ小さいので・・・。
まだ上場していないので・・・。
その手札を持ったカイジはどんな気持か。
チャンスはある。
この一手で。
このプロダクトで。
世界にプロダクトで勝負を挑みたい。
6. 私はこんな人であり、私は社会のインフラになれるタイプだ
多くの人と面談をしていて、結局、社長で入社を決めますと言ってくれるので、私自身、恥ずかしがり屋だが、自分でこんな人間だと思うと書いておきたい。
私が普段思っていること
・ユニークなアイデアには一見の価値がある。実行は100倍の価値がある。
・価値を生み出すまでに長い時間をかけるのは悪いことではない。
・面白いこと考えていると、奴らの顔も名前もおもいだせなくなる。
・諦めなければ結果がついてくる。だけど、アンラーニングありき。
・失敗はいいこと。小さな挑戦でも肯定してあげたい。
・伝統的な企業の変革は時間がかかっても社会インパクトがある。
・日本人に生まれたからこそ、日本でできることがあるはずだ。
・プロダクトで、世界で勝負したい。
・小さな池よりも、大きな池で、唯一の存在に。
・みんなが解けなかった難しい問題を解いてみたい。
・他の会社ができないことをやりたい。
・目立つことよりも、実は社会で役立っている存在でありたい。
そして、DATAFLUCTはこんな会社になる。
・データビジネス版の総合商社
・よりサステナブルな未来を切り開くSIer
・営業が強いデータ経営のパートナー
・データビジネスに特化したスタートアップスタジオ
といっても、まだ社員が31名しかいない。まずは、一緒にビジネスを作ってくれる仲間を待っている。DATAFLUCTはこんな会社だとわかる動画を作ったのでみて欲しい。
残り少ない人生、DFで面白いことやりましょう!