リモートで強いチームを作る方法

OKRを軸にレポーティングする秘訣について

新型コロナウィルスの影響でほとんどの企業がリモートワーク(テレワーク)の導入を始めた。モバイルPCとテレビ会議システムとVPNを導入するだけでうまくいくことはない。これらのハードのリモート対策だけではなく、ソフトのリモート対策は議論されるべきである。クライアント先からよく聞かれるのでその対策を淡々と述べていく。

リモートワークの導入メリットとは

はじめに、リモートを導入する目的を整理してみよう。

1.業務生産性が向上する(無駄なミーティングが減少し、やるべきことにフォーカスできる)*家に子供がいないなど誰にも邪魔されない場合に限る。

2.通勤時間が減少する(従業員にとって自由な時間が増える、通勤手当が減る)

3.家庭の時間が増える(家でご飯を食べる機会が増えたり、育児に参加する機会が増える)

4.出勤時のストレスが減る(満員電車、感染症リスクの軽減)

5.座席数が減る(オフィス賃料が半分以下になる)

6.世界中から優秀な人材を採用できる(出勤条件がないとどこからでもとれる)

7.仕事ができない人が明らかになる(デジタル上にログが残るため、無駄な管理者の価値が下がる)

8.コミュニケーション頻度が増える。*リテラシーが高い人に限る。

9.くだらない飲み会に参加しなくてもよくなる

10.自由な時間が増える(副業や学習時間が増える)

などなどメリットの方が多い。リモートワークはとても経営として合理的な意思決定だろう。固定費が下がり、変動費で経営できるため、安定的な収益がえやすい。

でも弊社では、別の目的で「フルリモート」を採用している。

FACTORIUMがフルリモートである理由

私が経営するFACTOIRUMは創業当初から「フルリモート」で経営をしてきた。今では40–50名を抱えている。

FACTORIUMは常時40–50名程度の業務委託スタッフを活用

2020年5月時点では、FACTORIUMだけで15社のクライアントがいて、グループ全体では、自社事業として約18のスタートアップスタジオ案件が進んでいる。協業案件も合わせると50-60程度のプロジェクトが並走している。爆発的な事業開発を実現できる仕組みが「エンパワーメント×ホロクラシー 経営システム」である。独自の経営ノウハウを詰め込んで、効率的にプロジェクトを回せる方法を随時作っている。

権限移譲型の階層がない自由な組織

FACTORIUMはすべての事業が新規事業に関するものであるから、案件ごとに優秀なスタッフを集結させて、最高のチームを作ることが最も大切になる。優秀な人を絞り込めば絞り込むほど、リモートワーカーばかりににあった。優秀な人は様々な人から仕事を依頼される、よって、一つのところにいられなくなる。よって、同時に複数の仕事をこなすために、リモートという選択肢をとる。フリーランス、ポートフォリオワーカーともいうかもしれない。

とにかく、どこでも生産性が高い仕事ができる人でなければ、新規事業がスピード感を持って作れない。結果として「フルリモート」という選択肢を取らざるをえなかった。ホロクラシー で、権限移譲をすることで、ぐいぐい事業を作っていく手段を選ばざるをえなかった。

とはいっても、リモートって課題が多い。

リモートワークの表面的な課題と対策

  1. 情報漏洩(カフェとかで仕事するから情報を漏れるのではないか)

→プライバシーフィルターやセキュアな認証を入れる。もちろん、アクセス権を絞るなどの管理面の対策はやる。そもそも、情報管理を徹底しなければならない仕事って個人情報を大量に扱う仕事に限られているわけでそういう人は全国民の0.x%だろう。そういう人にはリモートワークを許しちゃいけない。多くの人は、換金可能な個人情報にそもそもアクセスできない。法人営業の顧客情報にアクセスしたり、クライアントの機密情報を扱ったりしているだけである。この辺は、BOXとかセールスフォースとかSansanとか導入したら大体解決するし、そもそも、カフェで仕事をさせるなって話だ。セキュリティ部門や管理部門がデジタルの知識を身につければ、多くの問題は解決できる。

ググってもわからないのが次の問題だ。

2.勤怠管理/給与管理/人事管理/評価管理

→「あいつちゃんと仕事しているのか」わからない問題。

この問題は「給与を払うべき活動」か「雇い主に価値提供できているか」どうかということ。評価の 仕組みが整っていないからそんなことがおきる。エンジニアは動くものを作り続けたら評価されるが、企画職はどうだろうか。

あなたの会社の評価システムは「出社すればお給料をもらえる、年功序列」という仕組みになっていないか。そもそも、ただ出社しているだけで成果主義ではない企業はリモートむきでないので、このタイミングで衰退するか、デジタル に踏み切った方がいい。

すなわち「価値貢献」できた人に給与を払うという仕組みを作ればいい。価値とは、「売上アップ」「コスト削減」だけではない。制作物、ドキュメントなどの見えるも物を作ればいいって話でもない。メンバーのモチベーションを上げることや、仕事の方針を決めることも含まれる。

一番の問題点は、「価値」をどのように測っているのか、どのように「価値」を測ろうとしているのか、その会社にとって重要な「価値」をどう定義しているかって話だ。

3.情報共有/コミュニケーション不足

→情報共有/コミュニケーション不足は問題ではない。それによって引き起こされる事象の方が問題だ。

離れて働くことによって起きる様々な「ズレ」。

対面で確認する機会が減ることで目標が達成できない。

対応が遅れてしまう。

列挙すると

・メンバーの体調や顔色やテンションなどがわからない。

・ 仕事の優先順位がズレてしまう

・締め切りを忘れてしまう(確認が遅れてしまう)

・確認が必要な仕事の生産性がさがる

などなど。

実は、リモートワークで強いチームを作るにあたって一番大事なことがこの「情報共有」であるこということに気づいた。

リモートワークで生産性が下がる

リモートワークで生産性が下がるメカニズム

見えないことによる弊害

・本当に仕事しているのかわからない

・お互いの進捗が見えない

・稼働している時間がわからない

・テレビ会議では本題しかはなせない

・体調の変化が見えない

それによって起きる行動の変化

・管理者が不安にかられ、必要以上に報告させる

・メンバーからちょっとした相談ができない

・オンラインって飲み会とかしにくいから、気軽な相談ができない

意図せざる結果

・作業報告がメインになり、本質的な議論ができなくなる。

・不要な進捗確認という定例会が増え、生産性が下がる。

・モチベーション低下など非言語な変化を見落とす。

・重要な意思決定が遅れてしまう。

→リモートって生産性下がるよね!という間違えた認識がおきる。

リモートワークで生産性が下がるメカニズム

でもそれって、

・メンバーへの信頼関係がないからだけなのでは?

・ブレイクアウトできないテレビ会議のやり方は仕事のスタイルを変えられないからなのでは?

・不要に報告が必要なのは、評価制度の問題では?

・オンライン上で信頼関係が築けないのはカルチャーのせいでは?

と言い切れる。

解決すべき課題

・メンバーへの信頼感を取り戻そう。

一人一人と向き合うのは非現実的である。私の場合、1on1だけで月 60時間やらないといけないのは生産的ではない。ただ、問題に対処しなければならない。よくよく考えると、私にしか解決できない問題はほとんどない。だから、メンバー同士が解決し合えばいい。と考えればいい。

・デジタルな空間でも発言しやすい場を作ろう。

体調の変化、仕事の悩み、進捗などなんでもいいから、メンバーが発信する仕組みを作ろう。新卒一年目の頃は、誰しも、日報をいやいや書かされたものだ。ベネッセでは「ワタキロ」という名前で、手書きで書いていたが、あれをOJT/課長/部長が赤ペンでコメントしてくれる。半年間くらい。とてもいい手段だった。大切にされていると感じた。誰かが書いたものにしっかりコメントをすることがとても大事であることは、デジタルでも対面でも変わらない。デジタルならば記録できるし、定量化できる。

・タスクベースの仕事はもうおさらばしよう。

自分の子供に関して、1日のスケジュールを報告させたりしない。何をしたのか、細かく聞いたりしない。自分の子供にしないことを、なぜ会社員の管理職たちは部下に強いるのだろうか。「タスク」を管理することではなく、「目標・目的」とそこに向けて進捗しているかどうかが最も重要なのではないか。そして、「自分でタスクを考えて実行してくれる」自律さにはとてもメリットが多い。自分の考えるリソースが空けられるので生産性が高くなる。

・価値で仕事を判断しよう。

稼働時間が短いと価値を発揮していないはずだっていう幻想はそろそろやめた方がいい。○○○だから仕事がうまくいかない、って思うのは日本の国民性らしい。仕事の成果は、「価値」で決まると言っても過言ではないが、仕事の進め方やプロセスをどうして重視するのだろうか。「価値発揮」をモニタリングしていればいい。売上に貢献しない160時間働く人よりも、売上貢献してくれた40時間しか働かない人の方が価値がある。

離れていても強いチーム作る方法

その答えは、

OKRを軸としたレポーティングのUXを磨くこと

に他ならない。

上記の課題に気付き、reporuというSaaSを開発している。元々は、M&Aしたサービスだが、自分の組織がフルリモートでも生産性高くようにとこのシステムを開発し続けている。

■reporuとは

reporu(レポル)は、場所的・時間的・専門的にも「はなれる」ことの多いチームが、互いの目標・進捗に対する共通認識を持ち、自律的に働くことができる環境をつくるためのレポーティングツールです。

コンセプトは、「はなれていても、強いチームを」。
【reporu(レポル)】
https://reporu.team/

リモートワークが加速すればするほど、メンバー間の情報共有は必要最低限に留められ、重大な問題を見過ごすリスクが生じます。個々人がタスクベースで動くことで、当初のミッションからずれる可能性が高まります。それらの状況を回避するために、reporuが重視したのは「OKRに基づくレポート」です。

目指すべき目標(Objectives)と、その達成に必要な成果(Key Results)を認識しながら、日々の業務をこまめにレポート形式で報告しあうことで、目標達成にむけた優先順位が明確になり、メンバー同士の迅速なコミュニケーションを促進できる設計である。

お互いの考えていることが見える化されるため、チーム内でのコミュニケーションが生まれやすくなる。

OKR軸でレポーティングするメリット

1.OKRを軸にした日報・週報で、各メンバーの目標が共有されやすくなり、チームワークが生まれる

2.タスクベースではなく、ミッションベースで仕事に向かう意識が醸成される

3.チームメンバーを賞賛し合うことができ、心理的安全性が担保される。

CFRの重要性

OKRは、ただ設定すれば組織のパフォーマンスがあがるものではなく、どう運用するかが重要になる。

その鍵を握るのは「CFR」である。

【C】Conversation:対話
【F】Feedback:反応
【R】Recognition:承認

どんなプロフェッショナルでも承認欲求がある。

これまで、対面の1on1面談などで行われていた承認行為をreporuでシステム化することで、個々人が気持ちよく仕事ができる仕事環境を作ることができるように設計した。

心理的安全性を感じ、気持ちよく働けるようにreporuを設計していくつもりだ。

<具体的には>
1.対話→OKR設​定
MTGや1on1によって設定されたチーム・個人のOKRをreporu上に登録して、設定されたOKRは、コミュニティ上のダッシュボード上でいつでも誰でも確認することができる。これにより、お互いの活動内容を確認できる。

2. 週次・日次レポート→フィードバック
レポート投稿機能で取り組み状況を定期的にチームに共有。reporuをSlackと連携することで、レポート投稿だけでなく他メンバーのレポートへのリアクションもSlack上から簡単に実施可能。チーム内でのフィードバックが生まれやすい仕組みになっている。

3. OKR進捗→賞賛
設定したOKRの達成度合い、進捗状況をreporu上で更新。更新内容はSlackで通知が跳び、すぐさま「賞賛のコメント」が得られやすい仕組みになっている。どのようなアクションを起こし、その結果どれだけ目標を達成したのかをreporu上で可視化することで、個人のがんばりが明確になる。

プロジェクトに取り組めば取り組むほど、賞賛を得ることができ、承認欲求が満たされる。

上記のように、reporuではCFRが生まれやすい仕組みによってOKRを下支えし、互いの状況を理解しあい、コミュニケーションがうまれやすい状況を育むことにより、心理的安全性が保たれ、はなれていても強いチームをつくることにつながる。

リモートワーク改革、テレワーク改革とは、働き方のOSを「価値主義」にアップデートすることに他ならない。

まとめ

リモートワークでは、離れてしまうという理由で様々な情報共有の弊害がある。「承認」「賞賛」や「心理的安全性」を確保しながらも、生産性高く働ける仕組みを作ることが重要。その手段としては、OKRを軸としたレポーティングの習慣化が望ましい。

そういう考えに至って、reporuの機能を日々磨き込んでいます。

30名までは無料ですので、気軽に使ってください。

コンセプトは、「はなれていても、強いチームを」。
【reporu(レポル)】https://reporu.team/

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久米村隼人 Hayato Kumemura / 株式会社DATAFLUCT 代表取締役CEO

datasciece for everybusiness! a Data Science Startup Studio DATAFLUCT CEO / ex-Nikkei,Recruit,MACROMILL,Benesse,JAXA.