FACTORIUM update.vol.3.〜反省と苦悩の2019と孵化する2020〜
2020年1月の私の現在地点と、そこから見える未来の世界を語る。
2019年は私にとって反省と苦悩が続いた1年だった。未経験の領域に次から次へとチャレンジして身を持って未体験を経験できた年とまとめられる。独立して3年くらいはとにかく新しい経験をしまくる「稼ぐよりも学習」という「学習ドリブン」という方針を貫いてきたが、その判断に狂いはなかった。
まず、2019年の反省と苦悩を振り返り、2020年の希望について語ることで、新年の意思表明、ご挨拶としたい。
1.デットファイナンスで開発体制を作ってわかったこと
2019年の最初に取り組んだことは、開発案件を受けるために国民政策金融公庫と西武信用金庫から1500万円の融資を受けたことだった。そこで、Labo事業(AI・IoT・ARなど)を開始し、大手企業のAI受託開発ができる体制が整った。
事業は好調なのだが、小さな企業が開発をする時、多くの場合、フリーランスエンジニアを活用する。AI関連のソフトウェア開発には3ヶ月以上かかるものが多いため、資金ショートしないようにするために調達が必要になる。
実際に、大手企業と取引する時には、「決算が終わっていないから」とか、「開発体制がないからとから」という理由で開発契約ができないことがあった。大手と取引する場合は、大手SIerを挟んでもらったりすることで調整したりしたこともある。(大企業の与信モデルは全く考えられていないに等しいのは残念だ。)
そこで、いろんな手段でエンジニアを探すのだが、実際に、プロジェクトが始まると、
「お金だけ先払いだ」と言って音信不通になった人や「進捗しているといいながら、全然アウトプットが出てこない人」もいた。これも勉強の一部だ。そう言い聞かせるしかない。
「中小企業・フリーランス・個人事業主、同士の取引は無法地帯だな。最初から信用したら損するよな」
「中小企業・フリーランス・個人事業主に発注する大手企業のスキルも低すぎる。こんなんだから名の知れた仕事のしない中間搾取会社が儲かるのか」
という構造を理解できた。だからとって、
はじめての人と仕事をする時に相手を信頼しなかったら何も始まらないから、やめるつもりはない。やはり商売の基本はまずは相手を信じてみることからだと思う。
2.未来のCEOを探す旅に出て気づいたこと
FACTORIUMのMISSIONは、FOUND 100。すなわち、100社を作ること。
多い時でキャッシュを3000万円持っている時期もあったので、1000万円かけて新しい会社を作って、起業したい若者を支援することをやってみたかった。若者というのは、30才の前後の仕事ができるプロフェッショナルのことを指している。
いろんな出会いがあったが、その多くは実らなかった。いや、訂正しよう。全て実らなかった。yentaや人の紹介によりCEO候補の人と会って、ディスカッションを数回していくうちに、音信不通になる。多くは特に何も言わなく去っていく。
Issue Drivenの起業家候補を見つけることが一つの戦略だったのだが、事業検討フェーズでいなくなるのは次の4パターンに分けられた。
- 本業が忙しいにも関わらず、副業で起業をするパターン→(特に目標がある人の場合が顕著だが)本業が忙しくて、顧客検証ができなく、進捗がなくなってしまう。→まずは、本業で1人前になってから来てください。
- 起業自体に憧れを持っているパターン→そもそも、それほどやりたいわけではないが多い。周囲に起業家が多く、キャリアを模索するために、起業を一つの手段と考える。→まずは、リクルートとか新規事業やらせてくれる会社に転職したほうがいい。
- フィードバックを素直に受け入れられないパターン→「それがいいアイデアかわからないので、一緒に顧客ヒアリングにいくまではいい」しかし、それを多くの起業家は自分の中で素直に受け入れられない。仲間と一緒に走っていたはずなのに、自分だけで考えて、いつのまにか仲間に一緒に働けられなくなって、どんどん離れていく。→「素直さ」だけは唯一の起業家の資質である。
- 具体に興味がないパターン→顧客開発をやるやらないの前に、こんな技術を使いたい!こんな世界をつくりたいという思いが強く、具体に落とし込めなくなっていく。サービスの具体はわからないけれど、作りたい世界観はあるみたいだ。→だとしたら、ビジョンを描く力をもっとみがくか、サービス開発の技法を学んでくれ。
という感じで、本来1時間5万円以上もらえるはずのコンサルティング時間をボランティアで起業立ち上げ支援に変わってきたのだが、一つも実らなかった。どんな起業家にきてほしいかというペルソナが曖昧だったことを反省する。でも、リクルートの新規事業でも数百というアイデアがあって大きな事業になっていないという割合からしてもそんなもんなのかもしれない。
だからといって、今後もこの活動をやめるつもりはない。未来のCEOを探すために、新しい方法をハックするつもりだ。
未来のCEOを探す旅について
3.はじめてM&Aをしてわかったこと
2019年5月に株式会社reporuを買収した。
企業買収の理由はこちら
買収理由は上記の通りなのだが、企業の価値の付け方、どのようにして事業を譲渡するか、どんなプロセスが必要かなど学びが多かった。
そもそも、未来のCEOを見つけて事業を作っていくためにお金をとっていた資金が使われていないので、たまたま買収の話が舞い込んできた。
兼ねてからやりたかったテーマなので、即断できた。
今でも、そういう案件がきたらすぐに買収できる。
しかし、買収後の方が実は大変である。
維持するためのコストがかかるのと、事業方針をかなりエネルギーと手間がかかっている。会社を一つ増やすことで管理工数も増えた。(税理士顧問料も、法務的なコストもそのまま増える)プロダクトの方向性は正直ブレている。どうしよう、答えが見つからない。それでも、前に進む日々はとても楽しい。
M&Aしてからいろんな売り込みが増え、みんな資金調達や会社維持に苦労しているんだなって思うようになった。倒産後の知財の買取という話もあり、買収して再生していくことは一つのうちの事業の柱になる可能性を感じた。
このサービスのことを考えることが増えるにつれて、「自律分散な組織について」「仕事の進め方について」「チームのモチベーションについて」これまで以上に気を配るようになった。
そんなreporuは完全無料サービスなので、ぜひ登録をお願いします。
reporuの無料登録はこちら
reporuのfacebookページはこちら
https://www.facebook.com/reporureporu/
イベントはこちら
このプロジェクトをはじめたことでいろんな出会いがあり、2020年はかなり面白い取り組みになると思う。(2020年1月中にリニューアルします!)
※reporuはどんなポジションでもいいので仲間募集しています。興味ある人、連絡ください!
4.はじめて子会社 DATAFLUCTを設立してわかったこと
FACTORIUMでお金を貯めたら、早く会社を作りたかった。そこで最初に生まれたのが、DATAFLUCTである。
DATAFLUCTは、3つのプロジェクトを融合した会社になった。
・FACTORIUMでやっていたAI出店サービスプロジェクト
・丸紅と一緒にやっていたフードロスプロジェクト
・JAXAベンチャーとして日本版Orbital Insightプロジェクト
DATAFLUCTは、設立してからJAXAベンチャー認定、エンジェルランド、6本のサービスリリース、アクセラレーションなど、スタートアップとして成長をぐいぐいすすめている。(ちなみにここまで正社員はゼロで、シリーズA以降に雇用を開始する)
DATAFLUCTのPR times
https://prtimes.jp/main/action.php?run=html&page=searchkey&search_word=datafluct&search_pattern=1
はじめてのアクセラレーター、はじめてのエンジェルラウンド、めっちゃ学びが多い。経営者の頭の中は、採用と資金調達とPRになってしまい、いつしか本来大切な営業活動とか事業開発から遠ざかっていくのがよくわかった。
人を雇用することについて
人を雇用することはリスクであると感じている。特に、すぐに売上に直接的に貢献できない未熟な人を雇うためのコストを支払うには中小企業には厳しい。(大企業でも即戦力を求めているが、数人の会社からするとインパクトが大きすぎるのだ)
自分で案件をとって自律できる優秀な人は独立すると思う。
転職市場で価値がある人は高い報酬をもらえる大手企業のポジションがある。
上記に当てはまらない若い人を集め、育成していくことは中長期的に見たら意味があるかもしれないが、売るべきものが決まっていなくて、PMFが完了する前に雇用するのは、その人の人生・キャリアに悪影響を及ぼしかねない。そのような荷が重すぎる意思決定をしたくなかった。(過去に会社員の時に、そういう失敗を二度している)
the startup of startups
DATAFLUCTは、社内にミニCEO、ミニCTO、ミニCDO(データサイエンス)のチームが6チームある、いわば、スタートアップの中にスタートアップがある構造になっている。スターたちを誕生させる仕組み(スタートアップスタジオ)こそが、DATAFLUCTが開発しているものである。
DATAFLUCTは、これまで存在したスタートアップとは全く別のアプローチで考えた。データサイエンスベンチャービルダー(データサイエンススタートアップスタジオ)がもともとFACTORIUMのコンセプトで、それを踏襲した組織にしようと考えた。
そもそも、ルーチンマーケット(既存事業)をやって評価されるプロフェッショナルを集めて、データサイエンス新規事業で有効活用するもの。リクルートとか、DeNAとか、ITコンサルとか、仕事できるけれど、スタートアップ経験がない人、そういうTier1の人たちを集めて、価値あるサービスを作ろうというのがDATAFLUCTだ。
DATAFLUCTなら、フル権限委譲で、年収分の時間で割った金額の報酬(月10–20万円くらい)と、500万円の新規事業開発予算が自分の判断で使える。こう言った仕組みや組織開発や報酬や育成プログラムは、大企業のものは使えないので、スクラッチでゼロから開発している。
この仕組みはうまくいき、私の手から離れて6本のサービスが半年で開発されるようになった。同時に進んでいるので、どこでスタックするかノウハウが蓄積してきた。
それでも、一緒に起業しよう、一緒にやろうと言っていた人が途中でいなくなったりした。スタートアップ・バスはその行き先が見えないと、途中下車していくもの。その結果、経営方針(企業戦略・事業戦略・人事戦略など)を決めるのは一人になった。
これがスタートアップ経営者が孤独であると言われる所以か。
4月には正社員雇用を始めるDATAFLUCT。なぜ、雇用しようと思ったのか、そんな組織デザインにするかはまた別の機会で語りたい。
データとサイエンスで世界を変えたい人へ
DATAFLUCT is comming soon.
https://medium.com/@hayatokumemura/datafluct-is-comming-soon-948286505f54
5.大企業の新規事業支援でわかったこと
もう30社以上の新規事業支援をしてきたので、大企業で新規事業を通すことの難しさについて語らせたら5時間くらいは講演できると思う。(自分の経験も合わせると50本は超えている)
だいたい、6–9ヶ月くらいでPoC承認・事業化承認の役員プレゼンを迎えるが、大抵の企業は新規事業のアイデアが問題ではなく、他の理由で進められないのが、本当に笑える。面白ケース4つ紹介しよう。
- 名ばかりコンテスト →RECRUITのような新規事業プログラムはみんな憧れる。そういうことを支援するコンサルも増えたことから、そのプログラムで勝ったチーム(予算)から支援のオファーはよく来る。社員からボトムアップでアイデアを募集して、イベントにしてそこで新規事業が決まる!なんて、夢のような話を表面上で真似しようとしている会社が多いのだ。→実際問題、コンテストで優勝しても何も起きなかった。つまり、そのあとどうするかを全く考えていないのだ。笑。まずは、制度設計のコンサルをしてもらったほうがいい。
- 価値基準が定まらない経営会議 →新規事業を役員にプレゼンしたりすることをお手伝いをしたりしたが、経営方針に合わないという理由で事業化しないケースが多い。その経営会議に参加するのだが、事業自体のフィードバックはまったくなく、そもそも、「その領域はうちらしくないのではないか」「市場はあるのか」と外野の役員からの一声で終わってしまったケースがある。先に言ってよー。→おい。おれの9ヶ月返してくれ。もう事故にあわないようにするために、契約期間を短くした。
- ボトムアップの幻想 →新規事業開発部、研究センター、IT系の部署などいろんな部署から、新規事業アイデアをメンバーに出させて、それを評価して、伴奏してほしいっていう案件も多い。私としては知らない業界は勉強になるので、楽しい仕事の一つだ。ところが、一向にPoCの壁を超えられないのだ。→「研修の一貫で参加して、他にやりたいことがあるから」という理由であった。課題を一夜漬けでやるケースが多く、レベル感の低いアイデアになぜ私が丁寧にフィードバックをするのか。お金をもらっているからである。ボトムアップだよりの案件は断るようになった。まずは、戦略を立てるお手伝いからだな。
- サイロ化軍団→サイロ化とは、他の部門と情報共有をせずに、独自に進めた結果、孤立して、前に進めなくなるケースである。数兆円のある規模の会社だと、同じ会社でいろんな部署から相談がくる。しかも同時期に(笑)。メーカーは縦割り構造でここまで生きてきたので、いきなり「顧客中心で部署横断で価値提供できる仕組みを作ろうぜ。そうしないとスピード感のあるベンチャーに負けるぞ!」「あの部署の人とこの部署の人たちを繋げないと、この市場で勝てないと思いますよ!」って言っても動かない。部門間の調整コスト・取引コストが高いあまりにイノベーションが起きないのは教科書通りだった。→部門単位で新規事業の相談を断るようになった。
逆のケースもある。本当に危機感を感じていて、片手間ではなく本業で新規事業に取り組んでいて、心からやりたいと思っているチームもある。そういう人たちとは相性がよく、めちゃくちゃはやく、POCまで進み、事業化も決まる。1000に3つの確率かもしれないが、それはアイデアが原因ではない。
新規事業は好きだからやめられない。
6.3つの株式会社を経営してわかったこと
小さいながらも会社経営を3社できたのはいい経験だった。
営業活動
最初注目したものは、とにかく営業だった。営業こそが売上の源泉なので、一番大事な活動だった。 だが、いろんな人に会えば会うほど、無駄なアポが増えていく危険性もあった。無駄なアポは私の時間を消費させるものだ。とにかくディスカッションだけさせてほしいみたいなのだ。そういうNoAgenda企業は「オフィスにきてください」っていうようにした。相手のオフィスに言って、無料のディスカッションをするのは、3時間のロスであり、きてもらう分に関しては1時間のロスなので、それくらいならいいか。
時間資産
とにかく「時間」こそが、もっとも大事な経営資源であると言い切れる。相手からの問い合わせが増えるのだが、本当にそのために時間を使うのが今の自分にとって大事なのかを問いかけるようになった。気軽に会おうよって言ってくれるのは嬉しいのだが、あなたのために時間をつかうことでメンバーとの1on1の時間が削られ、採用候補者との面談が削られ、新しい営業機会が削られるかもしれない。仕事の時間もプライベートの時間も共に大切に使いたいと思うようになった。これが会社員時代と一番の違いになった。
情報資産
「情報」もとても大切に感じるようになった。会社員の頃は、誰かが情報を運んでくれた。「経営にとって必要な情報はなんだろうか。」どこにもまとまっていない。日経新聞は経営者が読むには、ノイズが多すぎるし、ネットニュースは価値がないものが多い。どんな情報を私たちはキャッチし続ければいいのだろうか。いまだにわからないので、情報収集は困っている。(経営者の仲間同士と話すしかないのかも)
初めてのベンチャー出資
知人であったのと、自分が好きな領域だったので、はじめてベンチャー出資もしてみた。エンジェルラウンドもやっているのだから、その気持ちがよくわかったので、どんな人に出資すべきかの基準が見えてきた。
初めてのアクセラレーションプログラム
FACTORIUMでは、TAKENAKAアクセラレーター
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000288.000016550.html
DATAFLUCTでは、JXTGアクセラレーター
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000046062.html
に採択された。コーポレートアクセラレーションプログラムは使い方によっては、大きなイノベーションになるかもしれないと思った。やり方次第では!
自分たちの案件がその好事例と言われるような結果を出して見せようと思った。
初めての決算を迎えた
3社同時の決算はどきどきした。FACTORIUMは黒字決算になってしまい、税金を収めることになった。(銀行からはお金が借りやすくなりました!って言われたけれど)会計的な側面で言えば、改善の余地は多い。ここまで税金って取られるのか。来年はどのようなPL/BSで着地にしようか、今まさに悩み中だ。
※税金と信金調達はどの会社にも大事だけど、起業する前に、知りたかった知識ナンバーワンだな。
空前のDXブームの波に乗っている
HR、食品、プラント、銀行、小売、製造、育児、水産、エネルギー、素材、製薬、テレビ局が12月に問い合わせがあったDXの案件相談リストである。そのうち半分くらいを案件化する予定なのだが、今は空前のDXブームを感じる。大企業やコンサルに発注しているが、自分たちではできないので、アドバイスだけでもほしいという案件が一番多い。3年くらいは食べるのに困らなそうだ。その辺のデジタルコンサルのパートナーよりかは、詳しいし、現場もわかるし、費用対効果よくDXの成功に導ける自信がある。DXは1年半で40本くらいやっているので、2021年末には100本目指したい。
自分の限界にチャレンジし続けた2019
社員1人=久米村のグループで50名以上の外部パートナーを活用しながら、現在、34本のプロジェクトが進んでいる。今の自分のマネジメントスキルだと、同時に50本までは広げられると思う。
たった100万円の資本金で作った会社、1名のフルコミットでここまでやれることの意味を、私から搾取し続けた奴らに伝えたい。(そういう人はこれを読むことはないだろう)
7.新しいビジネスモデルにチャレンジしたい
ここからは2020年どうするかという話をしたい。私の活動や未来について興味がある人は少ないと思うけれど、あくまで自分のために書き残したいと思う。
2020年はこんな年になる
- これまで以上に働き方が自由になる。副業解禁というシグナルから人材の流動化が進む。それにともない、働くとは何かが、科学されるだろう。
- バーチャルとリアルの融合がはじまる。XR技術は5Gの煽りとデバイスの進化を受けて、新しい体験を牽引するテクノロジーになる。1年後には、 まだ未ぬ面白い体験がいくつか出現するだろう。
- 情報の流通が進むだろう。情報銀行の整備により、個人情報とビッグデータの情報の取引が進むだろう。
- 大企業のDXが本格化する。2019年はまだまだ本格化していない。10%くらいの企業しか取り組んでいなかったが、30%くらいの会社が本格的に取り組むだろう。(DXとは、IT化ではなく、AI導入でもなく、デジタルを活用したビジネストランスフォーメーションのこと)
- Startup の資金調達が多様化する。お金の出し手はデジタルビジネスの知識を持つ人が少ないため、これから古い産業をDXで変えていくようなスタートアップは調達しづらい。DATAFLUCTがそう。すでに、CVCや事業会社経由の調達が増えているとされているが、DATAFLUCTのようなスタートアップスタジオ型の インキュベーションチームにお金が回ってくるはず、と信じたい。
私が狙う、狙っている13テーマ
FACTORIUMグループで手がける領域は13テーマ定義している。どの領域も、デジタルやデータサイエンスによって産業変革を起こせるものと定義している。AI、AR/MR、VR、Blockchain、動画解析、データサイエンスで次から次へとサービスを出していく年になる。
1.第一次産業(農業、水産、林業): 主に、人手不足、グローバル化などの環境変化と流通経路に課題を持つ。また、中小の事業者ばかりでなりたっているため、利益が出にくい構造になっている。サプライチェーンを再設計できるようなサービスが求められている。→3サービス着手済み
2.リテール、アパレル 、製造小売業界:GAFA対策と人手不足で破壊が始まった業界。日本はまだましな方だが、5年後には大きく構造が変わっているはず。→Retail業界のAI化サービス着手済み
3.サービス、ホテル、旅行、美容、ブライダル業界 :複雑な業務プロセス、人手不足、中小企業ばかり。流行に合わせた業態変革が求められる。ITサービスが増えているものの、本質的な課題は解決されない傾向。→データを統合するchatbotサービスで参入予定
4.ヘルスケア 、メディカル、ウェルビーイング、介護業界:保険制度が米国と比較して整っていることから、海外以上に事業化が難しい。高齢化が進むという意味では、日本にしかないチャンスが散りばめられている。→メンタルヘルス、ゲノムで仕込みたい
5.不動産、ゼネコン、土地活用業界:オリンピック需要後の不動産はどうなるのか。人口減少に関わらず、建物が増え続けている。今後、古い建物のリノベが強く求められるに違いない。不動産業界は新しいお金の貰い方を模索していくはずだ。 →ファシリティマネジメント、BIM領域で着手済み。
6.モビリティ、エネルギー、インフラ業界:移動、エネルギー、通信は生活・産業の基盤を支えるもの。世界的に見ても、思った以上に、生産性は高くなっておらず、チャンスは大きい。→MaaSプラットフォームとエネルギープラットフォームで仕込み中。
7.金融、証券、保険 、決済・カード業界:地銀をはじめとした銀行業界や証券業界は今後営業に苦しむ。これまでのビジネスのほとんどが役に立たなくなる。法改正が多く、IT化がより高度に進む。これまで違ったFintechサービが増える。→オルタナティブデータで着手済み、次はインシュアテックの予定。
8.都市開発、行政支援:BtoGといわれる業界は、非効率と思われがちだが、この業界こそ、DXが必要。 →コンパクトシティ、環境支援で着手中
9.HRl、働き方、キャリア、研修業界:転職・派遣・BPO業界はどのプレイヤーもDXが進んでいない。そもそも、正社員でい続けることの意味は
?その答えを出せているサービスは存在しない。→reporuの進化版を次から次へと展開していく。10.製造、工場 、研究、製造業もサイロ化が進む典型例。いろんな工場でAI導入が進んでいるように見えるが、プロセスを改善している程度で、価値提供ま出てきている事例は、日本では少ない。→スマート工場支援とDX支援サービスで展開予定。
11.メディア、コミュニティ、EC業界: メディア(テレビ・ラジオ・新聞)は既得権益の塊。強い広告ビジネスに支えられているから、緩やかに死んでいく。大手と組んでサービス展開することこそに意味がある。→継続検討中。
12.教育業界:幼児教育、英語教育、義務教育、社会人教育とそれぞれスタートアップが参入するには難易度が高い。 かといって、デジタルツールが進化していくことでデータがたまっていくので、チャンスはいくらかある。→継続検討中。
13.エンターテイメント、スポーツ業界:XR技術やAIなどの活用は部分的に進むだろうが、ビジネスモデルを大きく変えるほどのものはなさそう。 →継続検討中。
仕込んでいる案件が孵化するかは、時代の流れ、出会い、運による影響が多い。これは孵化しそうだなって思ったら、そこに集中する。
うまくいくかわからないけれど。それさえも、実験実験で楽しい。2020年は二度と来ない面白い年になるだろうな。
新しいビジネスモデル
新規事業コンサル→AI/IOT開発受託→ベンチャービルダー(協業事業開発※CEOはクライアント先、共同出資)→スタートアップスタジオ(自社事業 ※CEOは私かメンバー、90-100%出資)という形で事業が進歩してきた。
今、クライアントと議論し始めているのは、
「スタートアップスタジオ受託(※CEOは私かメンバー、マイナー出資、メジャーはクライアント)」
というモデルだ。要するに、CEOを私がかねる代わりに、株式の大半がほしいというモデル。0→1,1–10のプロセスを全部やって、事業部移管の部分までを任せたいというものだ。M&Aは高いお買い物なので、ちょうどいい選択肢と言えるだろう。
2020年はこういう新しい ビジネスモデルにチャレンジしたい。
※興味がある人は一緒にやりましょう。
「はたらく原点を回帰する質問」
ところで、なぜ起業したのか?って今でもよく聞かれる。
「社会を大きく変えたいから!」
っていう、起業家らしい気持ちはやはり今でもあまりないな。でもその質問は、時折サウナの中で自分に投げかける、大切な質問である。
今では
「つまらない人たちと仕事したくないから」(仕事する人を選びたい)
「誰かの意思決定で自分のキャリアをダメにしたくないから」(自分自身のキャリアを生き抜きたい)
「自分で、自分のやりたい事業を作りたいから(当事者意識とかの虚構ではなく、オーナーシップをもちたい)」
「クソみたいな大企業の慣習をぶち壊したいから(自分や子供達が過ごしやすい世界を作りたい)」
「世界における日本人の誇りを取り戻したいから(アイデンティティに素直でいたい)」
っていう思いが強い。最初の3つは仮説検証ができた。大満足だ。最後の2つは、時間がかかるのだが、じわじわ仕掛けていきたいと思う。
でも、私はやっぱり自分らしくありたいなぁって強く思うし、クソみたいな社会=主に苦しめられた大企業のクソみたいな価値観を変えていくことには人生をかけてもいいなぁってやっぱり思う。そのエネルギーを自分の内にしまって、ハードボイルドな挑戦をしていく2020にしたいと思います。
さて、
あなたのはたらく原点はどんなことでしたか?
たった一つしかない人生、後悔しない選択肢ができていますか?
この文章は年末年始の4日間をかけて書きためたものです。
長文になりましたが、2020年もどうぞよろしくお願いします!